食道がんとは
日本での食道がん新規罹患者数は、2~3万人程度と報告されています。罹患者数や死亡者数は、40代後半以降に増加しており、ピークは70代となっています。男性や高齢者が発症しやすい傾向があります。また、咽頭がんや喉頭がん、胃がんなどを併発しやすく、重複がんが多いと言われています。同じタイミングで発症するケースや異なる時期に発症するケースがあります。食道がんの種類には、扁平上皮がんと腺がんがあります。また食道がん罹患者のほとんどが扁平上皮がんになります。腺がんは、逆流性食道炎が原因で欧米の人に発症しやすいです。近年、肥満や欧米の食生活により罹患者数が増えています。
主な症状
初期段階の食道がんは、症状がほとんど出現しません。検診の際に、胃カメラ検査やバリウム検査を受けておくことが大切です。食事中に胸の違和感があったり、食べ物がつかえる感じがする、胸や背中の痛み、声のかすれ、咳、体重低下がみられた際は、がんが進行している可能性があります。気になる症状がありましたら、速やかに当院を受診しましょう。
食道がんの原因
扁平上皮がんと腺がんでは、食道がんのリスク要因が異なります。(表1参照) 扁平上皮がんは、タバコとアルコールがリスク要因といわれています。両方が習慣化していると、リスク上昇します。また、食道がんや頭頸部がんは、アルコールを摂取すると顔が赤くなりやすい方が継続して摂取した場合に発症しやすいと報告されています。生まれつき、発がん性物質のアセトアルデヒドの分解に関わる酵素の活性が弱く、過度なアルコール摂取で蓄積するためです。一方、腺がんは肥満やタバコ、欧米化した食生活、バレット食道がリスク要因になります。逆流性食道炎に伴って、バレット食道を生じます。さらに、ピロリ菌陰性や除菌者数が増えていることも関連性があります。
表1 食道がん組織ごとのリスク要因
扁平上皮がん | タバコ、アルコール、アルコールを摂取すると顔が赤くなりやすい、熱い飲み物、食道アカラシア |
腺がん | タバコ、肥満、欧米化した食生活、ピロリ菌陰性、逆流性食道炎、バレット食道 |
検査方法
当院では、最新の機器を用いて検査経験が豊富な内視鏡診療を専門とした医師が胃カメラ検査を行っています。画像強調システムにより、初期段階の食道がんを見つけています。患者さんの身体への負担が少ないため、安心して受けていただけます。
治療方法
内視鏡治療や放射線、化学療法、外科療法があります。がんの進行度合いや体の状態、検査結果を総合的にみて、治療法を決定します。ただし、進行している際は集学的治療といわれる放射線療法や化学療法、外科療法を併せて行います。初期段階の食道がんを発見して、適切な診断を行うためには、画像強調システムが有効といわれています。進行する前に発見できると、患者さんの身体に負担をかけずに、内視鏡治療で切除できます。